吉祥山正伝護国禅寺 正伝寺

透き通るような静寂に、魂が揺さぶられる。
デヴィット・ボウイを感涙せしめた、清浄の枯山水。

西賀茂の閑静な住宅街を抜けた先に、ひっそりと佇む山門が現れる。船山南麓に建つ正伝寺である。鬱蒼と木々が生い茂る参道を登り、やがて見えてくる庫裏より方丈へ。そこに広がるのは、白砂とサツキで造られた枯山水庭園。サツキの刈り込みは、右から左へ、七、五、三の配置となっており、虎の子ならぬ「獅子の児渡し」と称されている。広縁に腰を下ろし、彼方に比叡山を望む。心身を包み込む、凛とした静寂。この森閑とした庭は、かのデヴィット・ボウイも心酔したという。当時、頻繁に京都を訪れていた彼が、CM撮影の際に指定したのが、ここ正伝寺だった。撮影中に庭園を見つめ、涙を浮かべたこともあったと、とある新聞の記事が伝えている。見上げると、血天井が目に入る。正伝寺の創建は鎌倉時代だが、応仁の兵火で滅失し、江戸時代に再建された。その際に伏見桃山城の遺構を移したものと伝えられている。また、方丈内陣の襖絵も見どころだ。徳川家康の命により、京狩野家の始祖といわれる狩野山楽によるもの。その画風は永徳の流れを組む、ゆったりとした構図と繊細な描写が特徴である。年間を通じて観光客は少なめだが、雪の降り積もった冬の境内は、とりわけ静かで美しいという。寒中は外出も億劫になるものだが、これでまたひとつ、楽しみが増えた。

撮影:福森クニヒロ
雪景色写真提供:庭園情報メディア「おにわさん」

<おにわさん公式ウェブサイト>


取材・文/junko ikeuchi

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